お元気ですか?うめきちです(^0^)
有川浩先生の小節(植物図鑑)が映画になるということで、本を読み返してみました。
何年か前に読みましたが、改めて読み直してもやっぱり甘い甘い、激甘のラブストーリーでしたね。
そりゃあ、恋愛に付き物の山あり谷ありもありますが、この本に載ってる道端の草への造形の深さにはうならされました。
だってうちの庭先にも生えてる草もあったんです。へーってなもんですね。
雑草とひとくくりにされてしまう草たちを美味しく料られたてしっかりと胃袋をわしづかみにされたヒロインさやかと、謎多き青年イツキの甘い恋はどう展開していくのでしょうか!
そこで今回の記事は、
(※なお、ネタバレのため、結末を知りたくない方はご注意くださいね!)
【植物図鑑】のあらすじと感想
会社の上司と外回りに出たさやかはフェンスに巻き付いているつる草の名前を「ヘクソカズラ」だとヘクソカズラのウンチクを上司に教えて、「君のようなうら若いこがそんな名前をよく知っているもんだね」と、感心されてしまいました。
若い娘が「ヘクソ」と恥ずかしげもなく口にしたことを、はっと気づき、さやかは赤面してしまったのでした。
・・・全部、あんたのせいだからね!イツキ!
アパートの庭のフェンスに1本だけからみついたへくそかずらが未練を残し、咲いていました。
1)ヘクソカズラ(出会い)
物語の始まりは、その2年ほど前の3月まで遡ります。
ヒロインの河野さやかが飲み会の帰りにアパートの前で行き倒れになっている青年 『イツキ』を拾ったところから始まります。
アパートの前の植え込みに倒れていたちょっとイケメンの青年は
「お嬢さん、俺を拾ってください。しつけのいいこです、噛みません」
そして、河野さやかに拾われたしつけのいい青年『イツキ』はハウスキーパー兼食事係りとして、さやかの部屋に同居することになりました。
2)フキノトウ/フキ/そしてツクシ(狩り)
イツキを拾って1ヶ月が過ぎました。
イツキの作ったブランチを食べているさやかはもうすっかりイツキの料理に胃袋を捕まれていました。
ある日、イツキに誘われて近くの川辺に散歩に出たさやかは普段は目にも留めない川辺の風景に大はしゃぎしていました。
自転車を止めて、イツキがしゃがみこんだそこにはフキが群生しているのが見えます。
「フキ?」
「そう、でもそれだけじゃないよ。スーパーで買えば398円だけどここならタダだよ」
ふたりの初めての狩りを兼ねた散歩の収穫物はフキとフキノトウ、ツクシの
大収穫でした。
イツキの料理の手伝いをして、野草のご飯を堪能したさやかは次の散歩を期待するのでした。
3)ノビル/セイヨウカラシナ(春)
3月最終週にイツキの初めてのバイト代が入り、さやかに当座用立ててもらった分の4万円を返し、残りは貯金すると言いました。税金や年金を払いたいからと。
住所がなければ税金も年金も払えないはずなのに、いったいこの人はどういう人なのか・・・聞い
てはいけない疑問が浮かんでは沈むさやかでした。
すっかり春らしくなったその日の狩りの獲物はノビルとセイヨウカラシナでした。
小さな玉ねぎみたいなノビルと黄色いつぼみをたくさんつけたセイヨウカラシナは、イツキの手によってすごく美味しいパスタに変身したのです。
4)春の野花/タンポポ、イヌカラシ、スカシタゴボウ(恋の予感)
河原は春の色が溢れ、花の季節の到来です。
さやかが
「すごいね、お花のジュータンみたいだね」と言うと
「お、それいいね、ワイルドフラワーカーペット、と・・・」
と言って、イツキはカメラを切りました。
いつも写真を撮りまくっていてその膨大なデータはどうしているのかと思い、聞いてみると意外にもパソコンに保存していると答が返ってきました。
・・・パソコンもってるんだ…しかもノートの方…
「河野さん最近、お弁当なんだね」
会社の昼休み、最近はすっかり弁当派に分類されているさやかに声をかけてきた一人の男性社
員は人懐こく、さやかの弁当を覗いてきました。
そして、「一口もーらい!」
きゃらぶきの佃煮を指で摘まんで食べてしまいました。
イツキのきゃらぶきを食べられてしまったさやかは怒りを押し隠しながら、用事があるからと席を立ったのでした。
その日の夜、イツキがバイトに出かけたあと、さやかが取り出して見ていたのは2冊の植物図鑑でした。
少しでものの草花のことを知りたくて無理して購入しましたが、イツキに見つかるのは何だか恥ずかしいのでベッドの布団とマットの間に隠しておきました。
次の狩りの時、花冠の作り方を教えてもらい、持ち帰った花冠を大皿に生けて花のある食卓を楽しみました。
食べて旨い山菜の話になり、イツキから図鑑に載ってる植物でも、何冊か見比べて絶対に大丈夫なものしか食べてはいけないと約束させらてしまいました。
先日、天気のいい日に布団を干したら植物図鑑が出てきたと言われ、本を買ったことはバレバレだったのでした。
5)ワラビ/イタドリ(遠出)
次の狩りを直前にさやかは自分用の自転車を買いました。
今度は少し離れた所へワラビを取りに行くのです。
30分ほど自転車をこいで到着したところはワラピの宝庫でした。
最初は見分けられなかったワラビをスーバーの大袋に半分も採りまくり、イツキはイタドリを採ってきていました。
翌日の昼御飯は山菜御膳となりました。
6)ユキノシタ/クレソン(恋心)
さやかが自転車を買ってから二人の行動範囲ほ格段に広くなりました。
そしてある土曜日、ふたりは川を遡りクレソンやユキノシタを採っていました。
クレソンは川の中から生えているので、さやかは気をつけていてもついに川に落ちてしまいました。
川に落ちた片足が冷たい水で冷えきってしまわないようにイツキは持っていたハンカチをさやかの靴の中に敷いてくれました。
でもそのハンカチは、およそイツキが自分で買うとは思えないブランドものでした。
ハンカチはバイト先でバイト仲間からもらったものだとイツキは言いましたが、さやかの胸には何か刺さるものがありました。
どうしても気になって眠れないさやかはイツキのバイト先にそっと行ってみました。
そこで、自分が知らなかったイツキの名字は「日下部」でハンカチは女子からのプレゼントだと知ったさやかと、夜中のさやかの訪問に驚いたイツキはケンカをしてしまいました。
7)ノイチゴ(ふたりは・・)
昨夜の気まずさから、さやかは家に帰りたくなくて同僚の誘いにのって飲み会へさんかしました。
お開きになったあと、(前にさやかの弁当に指を突っ込んだ)竹沢がどうしても家まで送ると行ってついてきたのでした。
さやかの最寄り駅で押し問答しているところへ迎えにやってきたイツキにすごまれて竹沢はスゴスゴと帰っていきました。
「あれ、だれだ?」
「会社の人・・・」
「ふーん」
「・・・あたし、イツキが好きなの!!だから樹が買うはずないハンカチに動揺したの!!あたし、今、酔っぱらってるから明日になったら忘れてくれていいよ!!」
「あのなあ!」
「引き金引いといて忘れろとは何だよ!好きになった子に手を出さない条件同居してる男は辛いんだ!」
「女だって同じだよ!」
そして、ふたりは恋人の関係に発展したのでした。
もうすぐ梅雨入りというある日、ノイチゴを摘みに出かけ、沢山収穫されたノイチゴはタッパー二つ分のジャムになりました。
新たな発見!イツキがキスしたり、スキンシップが大好きだということがわかったのでした。
8)イヌビユ/スベリヒユ そしてアップルミント(幸せ)
梅雨に突入したある日、二人は小雨の中傘を差していつものトートで狩に出かけました。
今日の獲物はイヌビユとスベリヒユです。
あまりにも雑草然としているので食べれるなんて思う人はまずいなさそうな草です。
「あ!良いもの見っけ」
イツキが抜かれて積みあげられた草の山から抜き出したのはアップルミントでした。
「雑草か栽培しているのかわからなかったんだ」
部屋に帰ってから、採ってきたアップルミントを一本庭に植えました。
残りのミントで美味しいハーブティーを入れ、ノイチゴジャムをバゲットに付けて贅沢なお茶の時間です。
イヌビユと牛肉の炒め物とスベリヒユの酢味噌和えは久々に感じる
「雑草、侮れない!」
でした。
そんなある日のこと、さやかが会社の上司からもらってきた生け花展のチケットを見たイツキは少し難しい顔をしました。
結局、チケットはイツキのバイト先の奥さんにプレゼントされることになりました。
9)アカザ・シロザ/ヨモギ そしてハナミズキ(突然の別れ)
梅雨が明け、いきなり夏日がやってきました。
そろそろ今年の狩りも最後のシーズンを迎え、日焼けを気にしながら出かけた二人の獲物はヨモギです。
道中で見かけたアカザとシロザはイツキ的には絶滅危惧種一歩手前なのだそうです。
ヨモギは天ぷらやお茶にちょうどいいとイツキは言いました。
やがて、時はお盆、会社が夏休みのある日のことです。
イツキがさやかを買い物に誘いました。
その帰り道にあるケーキ屋の前で足を止めたイツキはさやかにワンホールケーキと、小さいケーキいろいろとどっちがいいか聞いてきました。
すっかり忘れていましたが、8月15日の今日はさやかの誕生日だったのです。
夕食はさやかのリクエストでエビとアボガドの冷たいパスタでした。
そして、イツキからのプレゼントはさやかが持っているポケット図鑑シリーズの続きを4冊です。
ふと思いついて、まだ聞いていなかったイツキの誕生日を尋ねると、
「さやかは忘れっぽいから誕生日が近くなったら教えるよ」
と言って教えてくれませんでした。
秋になり、街路樹のハナミズキの実が赤くなり、鳥に食べられて丸裸になってきたある寒い日、さやかが家に帰ってくるとテーブルの上に封筒とノート、部屋の合いカギが1本載っていました。
封筒の中の一筆箋には
「ごめん。またいつか。」
最初から名前しか知らなかったイツキはいつか出て行くことは何となくわかっていました。
だから、何も教えないのも、さやかが未練を残さないようにというイツキの配慮なのもわかっています。
でも自分の中にこんなに水があるなんて知らなっかった・・・全部溢れて涸れ果ててしまえばいい・・・
泣いて泣いて泣き尽くすさやかでした。
10)巡る季節(再会)
イツキが残したノートにはさやかでも作れそうなレシピが書いてありました。
イツキがいなくなってからそろそろ4か月です。
あの日、イツキと初めて狩りに行った河川敷に行ってみると、今年もフキが出ています。
フキノトウもツクシも生えています。
イツキが作ってくれたものを全部作ってみました。
樹は待っていてくれとも、待たないでくれとも書いて行きませんでした。
そして返してくれたカギは1本だけ。
もう1本は持って行ったのです。
季節は巡り、さやかはイツキがいた頃をなぞるように狩りをしました。
「私は、私の気がすむまで待つことにしよう」
そう心に決めたのでした。
それから一年以上たったある日、ポストに心当たりのない書籍封筒が入っていました。
差出人は
『日下部 樹』
そして、部屋の前に座りこんでいたのは!
「もう新しい犬、拾っちゃた?」
「拾うわけないでしょ、バカ!」
イツキはあれからどうしていたのか話してくれました。
前にさやかが会社でもらってきた生け花展のチケットの主催者が実はイツキの父親でかなり大物の華道家でした。
イツキはそこの長男・つまり跡取り・・でも本人にその気は全くなく、家から逃げるため全国を放浪していたのです。
さやかと出会い、このままではいけないと思い直し、家に帰りそのことで家族とキチンと話し合いをしてすべての相続を放棄し、何もかも弟妹に譲りました。
そして大学時代の恩師を頼り、学内に職を得て今こうしてさやかを迎えにきたのでした。
「一緒に生きていきたい」
そう言って。
🌸カーテンコール ゴゴサンジ
昔から街の子だったさやかは草花の名前はタンポポやスミレ程度しか知りませんでした。
それなのに家に住みついた凄腕のハウスキーパーのおかげですっかり詳しくなってしまったのでした。
ある時、梅仁丹のような植物が気になってイツキに聞いてみると
「午後3時ごろに咲く花だから、ゴゴサンジ」
確かにイツキはそう言いました。
本当の名前は【サンジソウ又はハゼラン】だったのです。
その事を言うと、イツキはガーンとなって、
「ちくしょー!俺、園芸品種弱いんだよなー」
イツキが【ゴゴサンジ】と教えてくれた次の年にイツキはいませんでした。
さよならも言わずそっと旅立ってしまったのです。
なので、さやかはそれがけっこうなトラウマとなっていて、時々、あのからっぽの感じが心をかすめるともう居ても立っても居られなくなり、イツキのケータイに泣き声で電話をかけるのです。
電話が繋がらなければメールを立て続けに打ちまくります。
そんな時に話題に出たのがサンジソウだったのです。
イツキの中では「ゴゴサンジ」で定着してしまっているのでイツキの職場である大学で、学生にゴゴサンジと言ってしまうと指摘されるので困ると言うと、さやかが
「じゃあ、ゴゴサンジはうちだけの名前にしよう。うちだけの名前だからよその人には言っちゃだめよ」
「ナイスネーミング!」
幸せな会話は続きます。
🌸カーテンコール 午後三時
杏奈は学校が終わったらまっすぐ家に帰って柴犬のさくらの散歩をするのが日課でした。
今日もいつもの公園をいつものように散歩している杏奈はなんだか元気がありません。
「どうしたの?」心配そうに見上げるさくらのその目の先の芝生の上に座っているのはいつもさくらをかまってくれるおにいさんがいます。
弾丸さくらのアタックをくらってひっくり返ります。
ひとしきりさくらと遊んだ後、元気のない杏奈に訳を聞くと先生に叱られてへこんでいるとわかりました。
でもそれは杏奈が悪いわけではなかったのです。
「先生はその花の名前を知らなかったから、杏奈ちゃんに聞かれて恥ずかしかったんだよ。だから、杏奈ちゃんに八つ当たりしたんだよ」
杏奈の先生が知らなかった小さな花の名前は【ニワゼキショウ】と言いました。
それからいろいろ話しをするうちにおにいさんには好きな人がいて、今は近くにいないことがわかりました。ケンカしたのかな・・
杏奈もケンカしている友達がいました。
幼なじみの太一とは仲良くしたいけど、友達にはやし立てられて気まずくなってしまったのでした。
夏休みがもうすぐ始まるこの季節に杏奈のとっておきの場所へとおにいさんを連れて行きました。
そこには植え込み一面に白い小さなベルの形をした花が咲いていました。
「キレイなんだけど、摘んだらすごく臭いんだよ」
その花を見たおにいさんは泣いていました。
おにいさんはその訳を話してくれました。
夏休みが終わったころ、あのお兄さんがまた家を出て行ったことを聞き、
「よかったね。帰れてよかったね、おにいさん」
杏奈も太一と仲直りすることに決めました。
書籍情報
ゲキ甘のお話でした。
有川浩先生の小説には必ず救いがあり、ハッピーエンドが待ってるとわかっていても、イツキの出て行ったシーンには泣かされました。
さやかといっしょに泣きました。
イツキの配慮は理解できるけど、少しでも話してくれたらよかったじゃん!
あんたがヘボなのは分かってたから待ってて欲しいって言ってあげればよかったのにって思いました。
そうすればあそこまでトラウマにはならなかったのに!
まあ、あの展開がなければこんなドラマティックな物語にはならないですけどね。
ーー私の大好きな小説のひとつです。
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野草料理のレシピ
分量はすべて2人分です。野草の量は基本的にカン重視です。
1)フキの混ぜごはん
★材料・・・フキ(適宜) ごはん(2合) 塩・ごま
①フキを茹でこぼしてアク抜き
②水に取ってスジ取りし、小口切りする
③②をボールに入れて塩少々で混ぜておく
④③にごはんを投入、良く混ぜ合わせたらお好みでゴマをどうぞ!
(フキの代わりにヨモギを入れると美味しい青菜飯になります)
2)ノビルのパスタ
★材料・・・ノビル(適宜)・セイヨウカラシナ(適宜)・ベーコン(4枚)・パスタ(200g)・塩・こしょう
①ノビルの球根を切り落として水洗いs、葉は適当な長さに切る。
②セイヨウカラシナを塩少々でさっと湯がき、水気をきる
③ベーコン・ノビルの球根・葉・セイヨウカラシナの順にフライパンに入れ、いためる(しおこしょうで軽く味をつける)
④③と茹でたパスタを合わせる。パスタの茹で汁をソースにするとグー。
(ノビルの球根のカリっとした食感がポイントです)
3)タンポポ料理
★材料・・・タンポポの茎(1つかみ)・葉(炒め物とおひたしで1つかみずつ)・花(6個)・バター、調味料(適宜)・天ぷら粉(適宜)・油(適宜)
◆下ごしらえ・・・茎と葉を適当な長さに切って水にさらして苦みを抜きます。(白い汁が苦みの元)
-a) 茎の炒め物と葉っぱの炒め物
①下ごしらえした茎と葉をそれぞれバターやしょう油、塩、こしょうなど好みの味つけで炒めます。
-b)葉っぱのおひたし
①下ごしらえした葉を湯がいて冷水に取り、絞っておひたしにします。
-c)花の天ぷら
①天ぷら粉をつけて、低温の油でじっくりと揚げます。
・天ぷら粉はゆるめに溶いてがくの部分だけにつけると花が開きやすいです
(タンポポはお酒のつまみにむいた料理です)
4)ヨモギのチヂミ
★材料・・・ヨモギ(適宜、でも多めに)・チヂミの素(一袋)・ポン酢
①ヨモギを塩少々でさっと湯がき、水に取ってから絞ってざく切りにします。
②チヂミの素に刻んだヨモギを混ぜてフライパンで焼きます。
ポン酢をつけて食べます。
5)ヨモギの油揚げサンド
★材料・・・ヨモギ(適宜)・油揚げ(2枚)・ハム(2枚)・チーズ(適宜)
①油揚げを半分に切っておきます。
②①にハム、ヨモギ、チーズを挟み、オーブントースターで焼き色がつくまで焼きます。
(チーズは少なめが美味しいですよ)
まとめ
今回の記事は、
・有川浩先生の劇甘恋愛小説【植物図鑑】のあらすじと感想
・野草料理のレシピ
以上の紹介をしてみました。
野草料理のレシピはいかがだったでしょうか?
案外食べたことがある料理もありましたね。
映画の方も楽しみです。
ではでは(^0^)/