中尾明慶の処女作【陽性】ネタバレ内容と感想・トップアイドルの妊娠

     

2016-03-20_174119

お元気ですか?うめきちです(^0^)

俳優・中尾明慶さんの初めての小節(陽性)が2016年1月に出版されました。

最近、芸能人が小節を書くのが流行っているのでそれほどの期待もしていませんでしたか、読んでひっくり返りました。

マジおもしろいです!

【陽性】は明石家さんまさんも「まさかの面白い!と思ってるのは私だけ?」と絶賛の小節です。

トップアイドルの妊娠が発覚してから出産までの紆余曲折を描いた小節ですが、ラストのどんでん返しまでの引っ張りかたがうまいですね。

そのラストにとんでもない爆弾が仕掛けられているんです。

今回の記事は、俳優・中尾明慶さんの初めての小節【陽性】のあらすじと感想を紹介したいと思います。

(※なお、ネタバレのため、結末を知りたくない方はご注意くださいね!)

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陽性のあらすじ

この小節は各人のこの事件に対する告白形式で物語は進んで行きます。
なので、主人公上原なつきを取り巻く人々が自分の目線でこの妊娠について考え、行動していきます。
そこにははまざまな思わくや打算が混じり、謎の存在が暗躍したりして芸能界の仕組みや裏側が垣間見えるのです。

そもそも、かなり早い段階で現れた謎の妖精ティンカーベルとはいったい誰なのでしょうか?

・トップアイドル・上原なつきの妊娠の事実を確実につかんでいる。
・子供の父親の名前まで知っている。
・なつきの極秘スケジュールまで把握している
 ティンカーベルっていったい誰なのだろう!
長い時間を共にしている人間ではないかと推理しながら、最後のさいごでのチョード級の爆弾投下で驚かされました。

1.アイドル、上原なつきの告白

2015年9月3日夜

もしかしたら、私、妊娠したかもしれない。もう2か月も生理が来ていない。

悩んだあげく、一番気兼ねなく話ができる、ヘアメイクの藤本あさみさん(私はあさみ師匠と呼んでいる)に頼んで妊娠検査薬を買ってきたもらった。(とろん十分に口止めはした上でだけど)

そして、今その検査薬の丸い判定窓には「陽性」の証しの縦線が表れている。

本当に妊娠なら仕事はどうなるんだろう・・でもこの子は絶対に産みたい!

産婦人科で妊娠を確認した夜、私はパソコンで人工中絶についての記事を読んでいた。

そして、自分の今までのあれこれをとりとめもなく考えていた。

16歳で島根の田舎から東京へ出て来たことや、お腹の赤ちゃんの父親である溝口翔太との出会いから今までの楽しかったあれこれ。

彼はまだ駆け出しの俳優だし、事務所も小さい。

もしも、妊娠が明るみに出たら双方の事務所は大変な騒ぎになるだろう。

いろいろな事が頭の中をグルグル駆け巡って行った。

でも、私は強く心に決めた。

「この子を絶対に産む!」

2.俳優・溝口翔太の告白

9月4日夜

なつきから「妊娠確定」の知らせをもらい、どうしたものかと悩んでしまった。

好きな女性に子供ができたなら、男としては産んでもらいたい。

でも俺たちはお互いに芸能人だし、ましてなつきは今や押しも押されぬトップアイドル【上原なつき】だ。

悩んだあげく、誰かに話を聞いてほしくて、一般人で中学の頃からの親友の「ゴリ」に電話をかけた。

ゴリは一通りの話を聞いて

「できちゃった婚かぁ、あほだなぁ、お前も。まあでもよ、おめでとう!」

ゴリの「おめでとう」の一言がうれしかった。

9月7日夜、なつきと3日ぶりに会い、お互いに出産を望んでいることを確認し合った。

しかしこれからこの試練をどうやって乗り越えて行けばいいのだろうか。

3.女優、桜木アヤノの告白

9月7日夜

私は自分が主催する”アヤノ会”で飲んでいる時に、その爆弾メールを受け取った。

「トップアイドルの上原なつきが妊娠している!相手は俳優の溝口翔太」という内容だった。

”ティンカーベル”という相手のアカウントに覚えはない。いったいだれなのだろう?

私みたいになつきに恨みを持っている誰かなのだろうか。

それにしても、何という爆弾メールだ!

これを使えばなつきをトップの座から引きずり落とせるかもしれない。

より確実にこの情報を有効活用するために、”アヤノ会”に来ているゼネコンの社長に情報を流してみた。

4.マネージャー、松尾千佳子の告白

9月10日昼

タレントを育てあげることにかけては右に出るものはいない、通称M氏から緊急の呼び出しを受け、なつきが妊娠していることをぶちかまされた。

情報源は”ティンカーベル”という謎の存在だった。

私のマネージャー生命をかけて、何としてもなつきの出産を阻止しなければいけない。

なつきの両親を島根から呼び寄せて、なつきの説得に協力してもらおうとしたが案に相違して彼女の両親は出産に賛成の姿勢だった。

万事休すの中、私なりに”ティンカーベル”について推理し始めてみたのだった。

5.ヘアメイク、藤本あさみの告白

9月18日

メイクルームはアイドルにとってのサンクチュアリであり、私たちヘアメイクやスタイリストとはここで長い時間を過ごす異空間だ。

スタイリストのマモちゃんが「なつきってもしかしたら妊娠しているかもしれないよ」

と話を振ってきた。

妊娠検査薬を買ってあげたのは私だからなつきの妊娠は知っていたが、知らなふりをしていた。

仕事が終わった後、ふたりでご飯を食べながらその話をしていた。

そしてマモちゃんには気をつけるように注意した。

彼はなつきが妊娠3ヶ月だと正確な月数まで知っていた。

マモちゃんが「NEX」と言う裏の社会で暗躍する恐ろしい不良集団の関係者だという話を聞いたことがあるのだ。

とにかく、私はどこまでもなつきの味方でいるつもりだ。

6.週刊誌記者、木戸克明の告白

9月21日

俺は溝口翔太の身辺を調査していた。

2週間ほど前に桜木アヤノからのおいしいタレコミ情報をもらったのだ。

そして”ティンカーベル”という謎のアカウントについても。

【週間WOMAN】ではこの爆弾情報に大喜びで特別取材班を結成してくれた。

あれから何度か”ティンカーベル”にメールを送り、ついに「なつきと翔太の密会」の決定的瞬間を撮ることに成功した!

7.ティンカーベルの告白

9月22日夜

なつきは松尾さんの運転する車で翔太のマンションへ行った。

人生最大の決意をするためだ。

翔太からプロポーズのような言葉をもらって安心し、「そろそろ帰らなくちゃ、松尾さんに一言だけでも挨拶したら」と翔太をエントランスまで連れて行った。

9月23日夜

”ティンカーベル”は週刊誌記者の木戸克明と会い、一週間後の大スクープの情報を教えた。

そして、同時に私が”ティンカーベル”の正体であることを木戸に告白する理由についても!

10月3日

松尾マネージャーの所へ、M氏から物凄い勢いの電話が入り、すっ飛んで行った松尾さんが見せられたのはなんと、「なつきと翔太の密会」の決定的瞬間の記事のゲラだった。

そこに載せられている写真にはなつきと翔太が、翔太のマンションのエントランスにいるところで、ご丁寧にマネージャーの松尾まで写っていた。

それに続く記事はなつきが産婦人科に入って行く連続写真の数々に

「やられた・・・これからどうなってしまうのだろうか・・」

松尾の頭の中は深い悲しみでいっぱいだった。

8.上原なつきの告白

10月5日

私は殺到したマスコミから逃げるために九段下のホテルに身を隠していた。

そして、ここで私は一世一代のショーを始めるのだ。

部屋には三脚、小型ビデオカメラ、ノートパソコンが用意されている。

主演も監督も、脚本、編集もすべて一人だやるのだ。

「上原なつき」の名前でユーチューブにアップロードされた動画は、上原なつき本人と家族しか知らないある重大な事実の告白だった。

かつて上原なつきには双子の姉妹がいた。名前は「はるか」と言う。

ふたりは一卵性双生児として生まれてきたが、一つだけ違いがあった。

それは、なつきには生まれつき子宮がないという障害を背負っていた。

大人になって結婚しても子供を産むことはできないのだ。

しかし、ふたりが15歳になったある日、はるかはトラックにひかれて脳死状態となってしまった。

はるかの持っていたドナーカードにより、彼女の遺志としてはるかの子宮はなつきに移植されたのだ。

はるかに貰った子宮に宿った命をなつきはどうしても産みたかった。

はるかと私、ふたりでひとりなのだから。

溢れる涙と共にアップロードされたなつきの独白は瞬く間に広がり、大反響を呼び、世論はなつきに味方する形となったのだ。

2016年4月7日

そして今、翔太にギュッと手を握られて、病院の分娩台の上で生まれたばかりの女の子を抱いたなつきは、天国のはるかに

「はるか、いつもいっしょだよ。ありがとう!」と叫ぶのだった。

書籍情報

感想

ひとりのアイドルを取り巻く周囲の人たちの告白形式とは面白いやり方ですね。

こういう表現の仕方もあるんだなって、一気に読んでしまいました。

・・・泣かされました~

最初はアイドルのでき婚の話しかなぁと思いましたが、こんなどんでん返しが待っているとはビックリでした。

女として生まれたら大人になったら結婚して子供を産むっていうことは当たり前のように思っていましたが、ただ不妊なだけではなくて子宮がないなんていう根本での悲しい障害を持っている人もいるんですね。

この小説はただのアイドルのでき婚話じゃなくて、宿った命の大切さを訴える小説なんです。

これから子供を持つ若い人にぜひ読んでもらいたい小説のひとつだと思います。

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まとめ

今回の記事は、俳優・中尾明慶さんの初めての小節【陽性】のあらすじと感想を紹介してみました。

子宮移植とはあまり聞いたことがありませんが、海外では少しずつ症例があげられているようですよ。

日本ではまだ認められていないようですが、これから先、子宮の病気などで子供を産めない女性には朗報ですね。

医学は日進月歩です。

ではでは(^0^)/

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