お元気ですか?うめきちです(^0^)
ていねいに描き込まれた1コマ1コマが素晴らしく美しい森薫氏 作『乙嫁語り』野3巻目です。
時は19世紀、中央アジア地方都市での出来事です。
アミルとカルルク夫妻の家、エイホン家に長らく逗留していたスミスは再び旅に出ます。
目的地は「アンカラ」
途中の街で案内人と落ち合う手はずだったけれど、なんの手違いか、案内人とは会えずに美しい女性タラスと出会ってしまうことに。
彼女はこの物語の「第2の乙嫁」かもしれませんよ。
今回の記事は『乙嫁語り』3巻のあらすじと感想、スミスとタラスの運命の出会いと遊牧民の結婚事情について紹介していきたいと思います。
(※なお、ネタバレのため結末を知りたくない方はご注意ください)
『乙嫁語り』3巻目あらすじと感想・スミスとタラスの赤い糸
この3巻では初っ端からスミスとタラスの恋愛を示唆する描写がありますが、
そもそもスミスとタラスは結婚はできると思いますか?
・遊牧民特有の掟
・イギリス人スミスの家側の事情
などなど、克服しなければならない課題はたくさんあります。
読み進めていくと、う~ん・・・やっぱりそうくるか~という事情も出てきます。
二人の未来には障害が多いようです。
詳しくはこちらもご覧ください
スミスとタラスの運命の出会いと愛の決意表明
エイホン家を出奔し、アンカラへの案内人との待ち合わせ場所の街までやってきたスミスですが、待ち人を探すため、ほんのちょっと目を離したスキにつないでおいた馬やロバごと荷物を盗まれてしまいました。
同じように大切な馬を盗まれて途方にくれている女性に出会います。
彼女の名前は「タラス」儚げな美人です。
きっとすでにこの時、スミスの心はタラスに《ずきゅーん♡》だったのです!
このバザールを取り仕切る場長に訴えて二人はなんとか荷物や馬を取り戻したのでした。
スミスは、タラスに招待されてタラスの義母と二人で住んで家にしばらく滞在することになりました。
かつては夫とその両親、4人の弟たちという大所帯でしたが、結婚して間もなく夫を病気で亡くしてしまいその後、遊牧民の風習に従いすぐ下の弟と再婚しました。
けれど、彼もまた事故で亡くなり、その下の弟と結婚し・・
こういう結婚の仕方を「レビラト婚」といいます。
反対に男性が妻の姉妹と結婚することを「ソロレート婚」といいます
どとらも結婚による両家の結びつきを途切れさせないためということです。
結局タラスは5人の兄弟全部と結婚し、全員を亡くし、気落ちした義父もまた亡くなってしまうという不幸を味わったのでした。
そこへ現れた若い男がスミスっだったというわけです。
スミスはタラスの義母からタラスとの結婚を懇願されますが、突然のことゆえ、戸惑い、結婚はまだ考えられないと断り、街へ戻ることにしました。
街へ戻ったスミスはどういうわけかスパイ容疑をかけられて投獄されてしまうのでした。
その理由は、タラスの義理のおじのしわざでした。
タラスと義母の財産が欲しいおじは、タラスと自分の息子を結婚させようとしていたので、突然現れたスミスが邪魔だったのです。(セコ過ぎ!クソおやじ!)
やがて、案内人が街に到着してスミスの嫌疑は晴れました。
スミスが投獄されたと聞いたアミルとカルルクとパリヤも駆けつけてきました。
時を同じくタラスも大慌てでやって来ました。
スミスが投獄された訳を知った案内人のアリとアミルたちは、スミスが投獄されたと聞き、取るもの取りあえずすっ飛んできたタラスの気持ちを察していました。
けれどイギリス文化の価値観で結婚を考えているスミスにそう簡単にはイエスと言えませんでした。
しかし、みんなの説得と自分の正直な気持ちに従い、タラスにプロポーズをし、その印として、金時計をタラスに渡したのでした。
二人で婚約の報告のためにタラスの家に向かうと、そこにはあの、欲深いおじがいました。
義母はタラスを守るために、自分がおじと結婚することにしたと告げますが、それは同時にタラスが強欲なおじの娘になったということでもありました。
スミスのことが大嫌いなおじは、娘の結婚相手は父親である自分が決めると言ってライフル銃まで持ち出してスミスを追っ払います。
訳がわからず、アミルたちの所へ戻ったスミスは、【父親の意見は絶対で逆らえない】ということを知り、ショックを隠せませんでした。
つまりフラれてしまったのですね。
失意のまま、アンカラへ向かうスミスはタラスから返された金の時計を砂漠へと投げて去って行くのでした。
文化の違いとは言え、納得のいかない別れですね。
アミルたちは「それならばしかたがない」と受け入れていますが、スミスの落ち込み方はハンパなくて見ているこっちまでガックリときてしまいました。
宗教問題も、スミス家のこともクリアできそうだったのに・・・。
でも、遊牧民の掟は、そこに暮らす人々の骨に髄までしみ込んでいるものです。
残念ですがこれだけはいかにスミスと言えど、どうにもならないものでした。
もしも何かのはずみでタラスがあの強欲なおじから解放される、なんてことがあったらこの物語りのどこかでふたりは巡り合えるかもしれませんね。
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過酷な大地に生きる遊牧民の結婚に自由意志はないのだ!
遊牧民の掟、それは【家】です。
家の存続のために家族はあるのです。
遊牧民は家畜を育てることで暮らしを立てており、家畜を育てるためには豊かな牧草地が必要です。
娘を嫁がせて力のある氏族と血縁になり、良い土地の権利を得ます。
対して、嫁をもらうということは労働力と子供を得ることなんです。
19世紀はまだ医療が発達していなくて病気やケガで家族を失い、働き手がなくなった家庭は貧困へと追いやられてしまいます。
結婚によってより権力の強い一族との繋がりを持ったリ、子供を産むことによって家を支える働き手を増やすことが必要だったのです。
家が栄えていくためには結婚は必要不可欠な要素で、個人の意思など差し挟む余地はほとんどありませんでした。
拒否すれば一族の衰退を招くことにもなりかねません。
厳しい環境のもとでは致し方ないことです。
なので、こと結婚に関しては一族と親の決定に従うのは当たり前のことなのですね。
パリヤさん市場で出会う♡
アミルとカルルクと一緒にやてきたパリヤさんですが、タラスとの結婚を決めたスミスの帰りを待っている間にお腹がすいたのでみんなで食事をすることにしたのです。
けれどいつの間にか他の人たちも混ざり大宴会になってしまいました。
たまたまそこにやってきた親子がお嫁さんをさがしているという話をしていました。
パリヤさんの隣に座っていたのはまさにその本人です!
心臓がバクバクして倒れてしまいそうなパリヤさんと優しそうな彼の出会いは結婚へと進むといいですね。
書籍情報
まとめ
今回の記事は『乙嫁語り』3巻のあらすじと感想、スミスとタラスの運命の出会いや遊牧民の結婚事情について紹介していきました。
こんな過酷なところでの生活では悠長に「結婚の条件は3高よ!」
なんて言ってたら行き遅れ確実です(笑)やばいですね!
ところで、アミルの実家のハルガル一家ではもう嫁に出す娘はいないので彼らはどうするのでしょうか。
性懲りもなくまたアミルをさらいに来ないとも言えませんが、実家であるだけにアミルの心は千々に乱れます。
次巻ではどういう展開が待っているのか楽しみですね。
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