お元気ですか?うめきちです(^0^)
史実に残る、町人が藩への金貸しを題材にした映画【殿、利息でござる!】が2016年5月1日の公開さ れました。
監督は「白雪姫殺人事件」や「予告犯」などの中村義洋氏、原作は「武士の家計簿」で知られている歴史家・磯田道史氏の「無私の日本人」に収録されている作品【穀田屋十三郎】を映画化したものです。
舞台となるのは江戸中期の仙台藩、その7代藩主『伊達重村』役は、仙台出身のフィギアスケーター・羽生結弦さんが演じます。
この映画は町の存続のためとはいえ、お上に銭を貸し付けて利息をまんまとかすめ取ることがテーマなのですがそれはいかなるやり方なのでしょうか。
なんだか面白そうですね。
今回の記事は、
・【殿、利息でござる!】のあらすじと感想
・キャスト
・羽生結弦さんの演技力
・評価
・まとめ
以上を紹介していきたいと思います。
(※なお、ネタバレのため、結末を知りたくない方はご注意くださいね!)
【殿、利息でござる!】のあらすじと感想
思いつき
1766年(明和3)京都から嫁を連れて帰ってきた茶師の菅原屋篤平治は我が町・吉岡宿の相変わらずの貧乏ぶりに心を痛めていました。
貧乏の一番の原因は吉岡宿がお上の物資を宿場から宿場へ運ぶ「伝馬役」と言うお役目を負っていたからです。
「伝馬役」てま使う馬を調達したり馬の飼い葉経やにんく代、その他の費はすべて住人たちの自腹だったのでそれは大変な負担でした。
そのために夜逃げする人が絶えず、人が減ればその分の負担は増すという負のスパイラルが出来ていたのでした。
それは、造り酒屋の穀田屋十三郎も同じで、なんとかならないものかと思い悩んでいました。
二人が煮売り屋のときの店で飲んでいるときに
菅原屋がふと思いついたことを言いました。
「銭をお上に貸してその利息を頂戴すればどうだろうか」
その内訳は、今、なぜだかお上は金に困っています。
そこでひとり5百貫、10人で5000貫つまり1000両(現在の貨幣価値にすると3億円)を集めてお上に貸して、利息として毎年1割の100両を貰い、それを伝馬役と費用に充てるというものです。
しかも、これは投資ではなく寄付なので誰も徳はしないというオマケまであるのです。
ただの思いつきで本気で言ったわけではなかったこのアイデアが、あっという間に吉岡宿中に広がり今や公然の秘密となってしまいました。
千両
やがて発案から3年がたち、吉岡宿の人びとは家財道具や着物などを売り払い、節約に節約を重ね、やっと5000貫に大金を作りました。
町の顔役の肝煎から大肝煎を経て代官の橋本権右衛門にお上への訴状をお願いに上がりました。
(※肝煎(きもいり)町の顔役・大肝煎(おおきもいり)肝煎を束ねる顔役の頭)
何度かの訴状の末、やっと受け付けてもらえた喜びも束の間、出入司の萱場杢に
「銭ではなく、金で出せ」と言われてしまいした。
(※出入司(しゅつにゅうづかさ)藩の財政担当職)
5000貫を千両の金に変えると5800貫となり、銭と金のレートの違いから800貫の追加になってしまいました。
なぜこんなに銭の価値が下がってしまったのかというと、それは仙台潘の殿様の伊達重村が島津潘への対抗意識から、官位を欲しがったためでした。
官位を賜るためには莫大なお金がいるのです。
そのため潘の役人たちは金策に奔走していました。。そしてついには、自分達て銭を鋳造することを思いついたの。
そのせいで銭の価値がさかり800貫も余分に出すハメになったのです。
金策
800貫と言えば現在の4800万円にあたります。
もう全て出し尽くした吉岡宿の人びとには無理な金額です。
万策尽きたところへ、金貸しと造り酒屋を営む浅野屋甚内から自分がもう500貫出すという申し出がありました。
しかし、既に1500貫も出した浅野屋にこれ以上は店を潰すことになってしまいす。
ありがたい申し出ではありますが、断りに行くと浅野屋任内はそこで、初めて父の教えを語ったのです。
(実は浅野屋甚内は穀田屋十三郎の弟でした。
浅野屋の長男である十三郎は穀田屋へ養子に出され、次男の甚内が跡継ぎとなったのです)
先代の浅野屋甚内の教えとは「冥加訓(みょうがくん)」と言う、中国からきた儒教の流れをくむ陽明学からの教えで、
『善を行えば天道にかない神仏の助けがあり、悪を行えば天に見放されて罰が与えられる』
というものです。
先代の浅野屋はケチとかしみったれ、守銭奴などと言われていましたが、利子を取り立てるのは金を持っている者からで、貧乏人からは踏み倒されても請求しなっかたのです。
そしてなんと先代は、菅原屋たちの『お上に銭を貸す』という発案よりも40年以上前から、同じことを考えていて一人でコツコツと銭を貯めていたのです。
浅野屋甚内は、先代が亡くなるときにこのことを告げられて、しかもこれらのことはすべて世間には秘密にし、いつか満願かなう時まで続けるようにと言う遺言でした。
それは『つつしみの掟』として代々受け継がれています。
今こそ先代の願いを果たす時だと思い、店を潰す覚悟もあると言いました。
ここまでの覚悟を見せられては断るすべはありません。
500貫はありがたく頂戴することになりました。
また穀田屋十三郎が昔から疑問に思っていた、長男の自分が養子に出され、次男の甚内が跡継ぎとなった訳も知りました。
甚内は目がすごく悪かったのです。それこそ夜は目が見えないくらいに。
「こんな者を養子には出すことはできない」
先代、浅野屋甚内の心を鬼にした決断に泣かされた十三郎でした。
【つつしみの掟】
一、喧嘩、口論は相つつしむ
一、こたびの嘆願について、口外することをつつしむ
一、神社仏閣へ寄進し折も、その名を出すことを、つつしむ
一、往来を歩く際は、礼を失することにならぬよう、これをつつしむ
一、振る舞いなどの寄合では、上座に座らず、末席にて、つつしむ
大願成就した暁には尚もつつしみ、
かつ子々孫々に至るまで固く守らせ、
これをつつしむ
利息でござる
吉岡宿からの千両は滞りなく納められ、褒美の金を賜ることになりました。
しかしその場に浅野屋甚内はいませんでした。
出入司の萱場杢になぜ朝野屋はいないのか尋ねられて、思わず『冥加訓』の、牛馬の背に乗って牛馬を苦しめたり、かごに乗ってかごかきを苦しめてはいけないという教えに従い、来ないのだ言ってしまい、打ち首ものの発言でドキドキでした。
褒美の金を浅野屋の立て直しに使ってもらうことにみんなで決め、浅野屋に持って行くと受け取ってくれません。
押し問答をしていると、そこへとんでもないお方がやって来たのです。
うろたえるみんなを無視して上座へ座ったその人は
「重村である」
と、のたまいました。
そして、紙にサラサラっと何かしたためて
「そちは酒屋であろう。これを酒名として使え。酒屋を潰すことあいならん」
「冥加訓の教えに従い、わしも倹約せねばな。城まで歩いて帰るぞ!」
サッと来てサッと去って行ったのは、ときの仙台藩主「伊達重村」でした。
墨痕も鮮やかな「霜夜」「春風」「寒月」をしたためた三枚の書は、殿さまが書いた文字だということで評判になり浅野屋の名物となりました。
その後、毎年「百両づつ」の利息を受け取り、吉岡宿は元気を取り戻したということです。
実話と言うことで、たいした方々がいたのだなあと感心しました。
「つつしみの掟」というものが本当に存在し、そのために今まで誰にも知られることがなかった・・・なんて奥ゆかしいのでしょうか。
できれば自分もそうありたいと思います・・無理か(笑)
しかし、ちょっと裏切られた感もありました。
主演が阿部サダオさんだという予告で、絶対にコメディだと信じて観に行ったら案に相違してかなりシリアスなものでした。
西村雅彦さんの遠藤寿内役などちょっとは笑える要素もありましたが、もう少し笑いを盛り込んで欲しかったかもです。
羽生結弦さんの殿さまは凛々しくてとってもすてきでしたよ!
キャスト
穀田屋十三郎・・・阿部サダオさん
菅原屋篤平治・・・暎二さん
浅野屋甚内・・・妻夫木聡さん
とき・・・竹内結子さん
遠藤幾右衛門・・・寺脇康文さん
穀田屋十兵衛・・・きたろうさん
千坂仲内・・・千葉雄大さん
早坂屋新四郎・・・橋本一郎さん
穀田屋善八・・・中村賢さん
遠藤寿内・・・中村雅彦さん
なつ・・・山本舞香さん
加代・・・岩田華怜さん
橋本権右衛門・・・堀部圭亮さん
穀田屋音右衛門・・・重岡大穀さん
伊達重村・・・羽生結弦さん
萱場杢・・・松田龍平さん
きよ・・・草笛光子さん
先代・朝野屋甚内十三郎・・・山崎努さん
監督・・・中村義洋氏
原作・・・磯田道史氏
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羽生結弦さんの演技力
フィギアスケートとは勝手が違うので、どんな演技をするのか楽しみに観に行きました。
盛大な大根ぶりを期待していましたが、なかなかどうして上品で育ちのいい凛々しい殿様ぶりでした。
パンフレットを読んでみると、共演者の方たちの評判も良く、セリフもキチンと入っていて堂々としたものだったそうです。
さすがに世界を制する金メダリストですね!
スケーターを引退したら俳優を目指すのかも・・・
評価
私個人の評価です。
コメディ仕立てと思っていたけれどハズレでしたが、かなり面白っかたと思います。
羽生結弦さんがステキだったので(☆4)といたします。
まとめ
今回の記事は、
・【殿、利息でござる!】のあらすじと感想
・キャスト
・羽生結弦さんの演技力
・評価
以上についての紹介でした。
昔の人は大胆なことを考えるものですね。
今の世だったらどうなっていたでしょうか?
もしかしてあり得ることなのか、法律の壁が邪魔するか・・
いろいろ考えてみると面白いですね。
ではでは(^0^)/