今市子【鏡花あやかし秘帖 月】ネタバレの内容と感想・書き下ろしも!

     

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お元気ですか?うめきちです(^0^)

【鏡花あやかし秘帖 月】が

2016年9月15日にノーラコミックスから

発売されました。

原案・橘みれい氏、

マンガ・今市子先生による、

明治を舞台にした「妖&帝都ミステリー」、

人気作家の泉鏡花と

新米編集者の香月真澄の

【鏡花シリーズ】最新刊です。

時は世紀末、明治3○年、

帝都に伝えられる伝説『大蛇が淵』に

まつわる奇妙な出来事が起こります。

書き下ろしコミックは、

怪しい銀狼の罠に香月が囚われてしまいます。

今回の記事は、

・【鏡花あやかし秘帖 月】の

あらすじと感想

・まとめ

以上について紹介をしていきたいと思います。

(※なお、ネタバレのため、

結末を知りたくない方はご注意くださいね!)

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【鏡花あやかし秘帖 月】のあらすじと感想

水底の視線

編集部での徹夜明けの朝、『幻想倶楽部』の

敏腕記者・六車と新米記者の香月真澄は

乙女橋の欄干に寄りかかっている

『豊潤社』の記者・松川を見かけました。

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彼の指さす先には、

川面に浮かぶ美しい女の遺体がありました。

自分が殺したと言う松川が、現行犯逮捕で

警察に連れて行かれてしまいました。

警察の検視の結果では、

被害者の芸者・雪乃は川が真っ赤に

染まるほどのおびただしい出血で、

あたかも身体を何者かに

食いちぎられたような奇妙な傷口だった

そうです。

しかも松川には被害者の雪乃を殺した時の

記憶はありませんでした。

松川は証拠不十分で釈放されました。

香月真澄と六車はこの不思議な話を、

人に見えないものが見える不思議な力を持つ

天才作家『泉鏡花』の所へ持ち込みました。

『豊潤社』の記者・松川もまた、

鏡花先生の担当をしていたので

まんざら知らない中でもありませんでしたが、

あまりいい印象は持っていないようでした。

また、鏡花先生は彼らに

もう橋へは近づかない方がよろしいとも

忠告もしました。

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雪乃と六車は客と芸者・つまり男と女の仲、

松川ともまたそういう関係でした。

二人の間で雪乃は揺れているようでした。

だから雪乃が選んだのは松川の方だったのが

悔しいと六車は思っていましたが、

茶屋の女将に

「六車さん、あんたはあの子と別れて

よかったのよ」と言われたのです。

女将が言うには、雪乃は何度か客と

駆け落ちしているけれど、しばらくすると

一人で戻って来るというのです。

どこでどうやって別れたものか、

相手の男は2度とこの町には帰ってこないと

言いました。

しかも亭主がいたらしいとも。

そんなある日、

雪乃が見つかった乙女橋で亡霊の目撃者が

現れたのです。

「おいでおいで」と呼ぶそうです。

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ところで乙女橋にはいわくがありました。

昔は淵の澱みに大蛇が住んでいたという

伝説があったのです。

鏡花先生は前に小説の題材に

ならないかと思い、調べたことがありました。

香月は鏡花先生からその時に調べた伝説を

まとめた冊子を見せてもらいました。

それによれば、その昔、

たびたび氾濫する川を鎮めるために

川に住んでいる大蛇に村で一番美しい娘を

生贄に捧げました。

大蛇は美しい生贄に満足し、村には平和が

しばし訪れました。

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大蛇の力により娘は若く美しいままで

生き続けることが許され、巫女として

大蛇に仕えるようになりました。

娘の仕事は、若く美しい姿で男を誘っては

大蛇に捧げました。

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しかし、失敗すると大蛇は怒って再び川を

氾濫させると、その度に巫女は

我が身を捧げて大蛇に食われたのでした。

時には巫女に、

時には白拍子、またある時は芸者・・・

その巫女が雪乃だったとすれば、

つじつまが合うのです。

でも、そうすると松川が殺されずに

すんだのはなぜなのか。

雪乃が亡くなってから松川は、

自分は雪乃の亡霊にさえ会う資格がないと

毎日飲んだくれていました。

六車は、あの時、松川から奪っていれば

雪乃は死なずにすんだと思うと

やりきれない気持ちでした。

こんな男たちの未練のために、泉鏡花は

乙女橋のたもとへやって来ました。

そして、いにしえの聖獣に語りかけ、

説得を試みました。

「時代はかわったのだ。数年のうちに

この川は埋め立てられて暗渠になる。

今のうちに新しい住み家を見つけて

去りなさい。

その美しく光り輝いていた鱗が

これ以上汚されぬうちに」と。

六車はどうしても雪乃への未練が絶ちがたく

乙女橋の亡霊を自分の目で確かめようと

橋へ向かいました。

香月は「鏡花先生にあれほど行くなと

言われたのになにやってんですか!」と

怒りながら六車を追いかけました。

橋の上では、雪乃と松川が抱き合い、

大蛇が二人に襲いかかろうとしていました。

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鏡花は卯辰に命じて大蛇に挑みかからせ、

懐の刀の力で大蛇を鎮めて、

ここより静かで清らかな川へ行くように

念じました。

橋の上で六車と香月が見た光景は、

生きていた雪乃と松川の最後の

逢瀬の瞬間の幻だったのです。

鏡花先生は六車と香月に後ろを

決して振り向かないように言って、

3人で乙女橋から帰りました。

帝都の銀狼(書き下ろし)

香月真澄の背中にはうっすらとした傷跡が

残っていました。

それは帝都の銀狼と呼ばれたあの男が

残したものでした。

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その晩、仕事帰りの香月は瓦斯灯の上に

なぜか人がいるのを見ました。

あんなところに人が登れるはずもありません。

「幻覚だ!見ちゃいけない!

気のせい、気のせい!」

急いで立ち去ろうとすると

「おーい兄さん、あんたおいらが

見えるのかい?」

ひらりと舞い降りてきたその少年は

獣の臭いがしました。

狐か狸かもしれないと思った香月は、

鏡花先生からの大切な預かりものを

取られないようにしっかりと胸に抱いて

逃げようとしたその時、

さっと大切な預かりものをかすめ取られて

しまいました。

慌てて追いかけましたが、

なかなかの素早さでちっとも

追いつきません。

そして彼は香月が自分についてこられたら

これは返すと言いました。

「どこへ・・?」

「いいところへさ!」

少年はふっと狼に変身すると走り去って

行ってしまったのでした。

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香月がやっと追いつくと、少年は一軒の

朽ち果てた武家屋敷の中へと入って

行きました。

恐る恐る中へ入ると、何歩も進まないうちに

なぜか奥の間に来ていました。

気がつけば玄関の位置さえわからく

なっていて、完全に化かされたようです。

その時、季節外れの蛍がふわりと飛んで、

その先を見ると取られた預かりものが

置いてあるのが見えました。

ふと墨の匂いに気づいて振り返ると

一人の青年が座っていました。

さっきの銀狼?いや・・・違う

・・・人間なのか?

『こちらへ さあ・・・服を脱いでそこへ』

翌朝、自分の部屋で目を覚ました香月は

鏡花先生から借りた大切な本が

無事なのを確認して、

あれはやはり夢たったのだと安心しました。

しかし、なんだか背中にチクチクする

違和感が!

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鏡に写してみると、背中が

一面赤くなっています。

『服を脱いで、うつ伏せになってください』

夢かうつつかまぼろしか

いやいや、きっとどこかでうるしに

かぶれたんだ。それであんな夢を・・・

職場の幻想倶楽部の自分の机に

座っていても落ち着かない気分でした。

背中を虫に刺されて痛いと言っていると

そこへやって来た編集長が

最近流行っている刺青の話を始めました。

香月は鏡花先生に借りた本を返すために、

鏡花先生の家をたずねました。

相変わらずのお化け屋敷のような

目に見えない色々が住んでいる家です。

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お借りした本を返すと、鏡花先生が

「この本、獣の匂いがついている。あなた、

これをどこへお持ちになったのですか?」

そう聞かれて、昨夜の不思議な夢を

話してみました。

「なるほど・・・不思議な体験ですね。

ところで背中、よろしかったら

拝見しましょう」

香月の背中を見た鏡花先生は、

「これは・・・虫刺されというより何かの

模様のようですね」

鏡花の言葉に不安がる香月にやさしく

こう言い添えました。

「とにかく熱と痛みが引いたらどうなるか

様子を見てみましょう。

今夜はゆっくりおやすみなさい」

その夜、眠っている香月のもとへ

また銀狼がやってきました。

「迎えに来たぞ」

そして銀狼のセニ乗り、

香月はまたあの屋敷へと行くのでした。

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そんな夢が幾晩も続くうちに、

香月は目に見えてやつれてきました。

幻想倶楽部の外に出ると、

鏡花先生が香月を待っていました。

ちょっと付き合ってほしいと言われて

連れていかれた先は、一軒の飲み屋です。

女将は鏡花先生の頼みならと、

背中の彫り物を見せてくれました。

それは見事な慈母観音でした。

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昔、流れてしまった子供を思って

生きる気力も無くして川縁を歩いていると

あの銀色の狼に出合い、

奇妙な彫り師のところへ連れていかれたと

言いました。

女将は、この刺青に生きる力をもらったと

微笑んでいます。

女将の話を聞いているうちに

気分が悪くなった香月は外に出ると

気を失ってしまいました。

香月が目を覚ますと、

そこは待ち合い(今のラブホ)で、

そばには鏡花がいました。

焦りまくる香月に、背中を見せろと言う

鏡花先生の言葉に逆らえず、服を脱ぐと

そこに現れたモノは!

誰か助けが必要だと感じた鏡花先生は、

悪魔人形の館の主人、人形師の御影さんの

ところへ香月を連れて行きました。

そこで初めて香月は自分の背中を見たのです。

そこに彫られていたのは

見事な唐獅子牡丹の刺青でした。

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その刺青を見た御影さんは

これを彫ったのは

「帝都の銀狼」本名・岸田征士郎

雅号は「無暫」だと教えてくれました。

武家の出ながら異能の天才絵師と言われ、

やがて刺青にのめり込んだ男で、

「無暫は人生を描き変える」

と言われたほどの彫り師だそうです。

それからしばらくして、鏡花先生が

香月を訪ねて来て連れていかれたのは

墓地でした。

香月は、小説に使えそうな良い名を

探しててこいと言われ、墓地の中へと

入っていきました。

そこで迷子の少年に出会ったので

彼を家まで送り届けることにしました。

少年の家まで来ると、その家の夫人に

家に通された香月ですが、

何だか噛み合わない話を聞かせれています。

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見せられた写真に写った兄弟の弟の方は

確かにさっき少年ですが、夫人の話では

長男の充晴と弟の唯之は

二人とも亡くなっているようです。

しかし、今、目の前にいる少年もまた彼です。

けれどなぜか今は、血にまみれていました。

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御影さんが次に香月達を連れて行ったのは、

ある病院の標本室でした。

そこにはあの「唐獅子牡丹」の生皮が

保存されていました。

《遺贈 滝川充晴》という銘がついています。

滝川充晴は半年前に猟銃の暴発で

事故死していました。

そして岸田征四郎とは

許されざる仲の二人でした。

香月を会して征四郎と充晴は

やっと再会することができたのです。

銀狼は征四郎を幼い頃から守ってきた

眷属の狼でした。

やがて廃墟となった武家屋敷で岸田征四郎の

遺体が発見されました。

死後約半年・・・滝川充晴の亡くなった直後に

自死したという検視でした。

二人の霊が去り、銀狼が山に帰ると

香月の背中の彫り物は一瞬にして

消え去りました。

今はもう数枚の花弁を残すのみとなり、

それもじきに消えていくようです。

書籍情報

【鏡花あやかし秘帖 月】

感想

今回も不思議な物語でしたね。

それにしても何回読み直しても

どちらもロマンチックなお話です。

【帝都の銀狼】の方は書き下ろしなので

この本でしか読めません(今のところは)

書き下ろしのためか、香月の

可愛いシーンが多いですね!

巻末に、橘みれい先生が

2015年12月28日に永眠されたと

記されていました。

ご冥福をお祈りします。

シリーズもこれで終わりだと思うと

残念ですね。

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まとめ

今回の記事は、

・【鏡花あやかし秘帖 月】の

あらすじと感想

以上についての紹介でした。

相変わらず美しい鏡花先生と、

可愛い香月真澄君でした。

ではでは(^0^)/

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